新年のご挨拶(2021年1月4日)

令和3年1月4日
駐オーストリア特命全権大使 水谷章
 
謹んで新年のお祝いを申し上げます。
 
昨年は、新型コロナウイルスという史上例を見ない国難に立ち向かった一年でした。またウィーンではテロが発生し、改めて世界のあらゆる場所でテロリストが人々の安全を脅かそうとしていること,そして平和で安全な社会の大切さについて身をもって実感しました。大使館としても気を引き締めて,例えば領事メールを活用した正確な情報提供に努めていきたいと思います。
 
新型コロナウイルス感染症による影響と対応、米国大統領選挙、米中貿易問題、英国のEU離脱による影響など、欧州情勢も大きく動いた一年でした。EU加盟国の結束が揺らぐ中で、新型コロナウイルス感染症への対応や,復興基金を巡る交渉などのEU内の調整において、クルツ・オーストリア首相は確固とした存在感を示しました。9月には安倍総理(当時)とクルツ首相による電話会談が行われ、また、新しく就任した菅総理にクルツ首相が祝意のメッセージをツイッターで発信するなど、日墺首脳の良好な関係は今後の両国関係の強みです。さらに、コロナ禍による大きな制約の下、昨年11月にウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の訪日公演が実現したことは、両国民にとり大きな励みとなりました。こうした官民共に緊密な交流を土台として、日墺関係をさらに強固にしていきたいと考えます。
 
日EU・EPAにより,段階的な関税撤廃が更に進むことが見込まれ,コロナ禍が収束すれば,日墺経済関係も急速に復活してくるものと思われます。また、現下の厳しい経済状況の中でも,大半の当地日系企業が事業を維持・継続し、地元経済に貢献されていることに敬意を表します。大使館も引き続き,日本企業支援を1つの柱として,皆様の要望にお応えできるよう木目細かい対応を心懸けてまいります。
 
着任以来、日本と姉妹都市交流を行っているオーストリアの諸都市を訪問してきました。これらの交流を長年にわたり支えてくださっている方々に感謝と敬意を表します。そして、今年は、私たちが待ち望んだ東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。この大会に向けて、栃木県那須塩原市、東京都府中市、長野県安曇野市、京都府亀岡市、愛媛県/西条市がオーストリア・ホストタウンとして、岩手県の花巻市と矢巾町が「復興ありがとうホストタウン」として、オーストリアとの交流を進めておられることを心強く思います。大使館としてもこのような交流を応援してまいります。
 
外出制限、経済活動の抑制や学校の一部閉鎖など,依然として私たちの生活は新型コロナウイルスからマイナスの影響を受け続けています。現在の状況を踏まえ、本年予定していた、当館主催の新年祝賀レセプション及び天皇誕生日祝賀レセプションは見送ることとさせていただきます。手洗い,マスクの着用,人混みの回避など基本的な感染対策を改めて肝に銘じながら,早期にワクチン接種が始まることを強く期待します。
 
皆様のご健康とご多幸を心からお祈りいたします。