新年のご挨拶(2026年1月吉日)
新年明けましておめでとうございます。2025年1月に大使として着任し、早や一年が過ぎました。2025年を振り返りつつ、2026年を展望してみたいと思います。
まず、日本、オーストリア両国とも、2025年に新しい政府が発足しました。オーストリアでは1947年以来となる三つの政党から成る連立政権が樹立されました。日本では10月に初めての女性総理として高市早苗総理が政権を担うこととなりました。両国とも、目前の内政、外交上の懸案に取り組むことが優先課題ですが、これを機に、2026年、政治レベルでの往来など、関係が更に強化されることを現地の大使としては期待しております。とりわけ両国は、価値を共有し、高齢化社会問題など、先進国としての共通の政策アジェンダを持つパートナーとして、両国の政策レベルでも関係も深めることが出来ると思います。日墺間には、こうした将来の課題について議論する産官学フォーラムとしての「将来の課題のための日・オーストリア委員会」があり、昨年は地方創生を軸とした活発な議論が姫路市で行われました。こうした多層的な対話のネットワークを更に強固にしていくことも、大使としての責務の一つと考えております。
さて、2025年4月から10月半ばまで我が国が主催した大阪・関西万博は、日墺関係強化にとっても重要な契機でした。私自身、5月のファン・デア・ベレン・オーストリア大統領の万博ナショナルデーへの参加に随行する形で万博会場を訪れました。ファン・デア・ベレン大統領、及びハットマンスドルファー経済大臣をはじめとするオーストリア政府代表団は、万博訪問のみならず、政府要人との意見交換、経済シンポジウムへの出席、更には先に述べた姫路訪問において姫路城とシェーブルン宮殿との城協定の締結式典参加など、政治、経済、文化などあらゆる観点からの関係強化に尽力されました。
また、大阪・関西万博を契機に、ミクル・ライトナー・ニーダーエスタライヒ州首相や、ルートヴィヒ・ウィーン市長(州首相)なども訪日された他、オーストリア各州より経済や学術交流等のミッションが数多く日本を訪れたことも特筆すべきかと思います。勿論、オーストリアには数多くの姉妹都市交流関係が示すように、これまでも長年に亘り草の根交流を続けている自治体が数多く存在します。こうした努力一つ一つが二国間関係の礎であることはいうまでもありません。2026年も、こうした積み重ねの下、大使館として各分野の人的交流などを後押しして参りたいと思います。
日本とオーストリアを巡る環境に目を転じますと、欧州、ひいては世界にとり最大の挑戦は依然、ロシアによるウクライナ侵攻であることはいうまでもありません。昨年1月の大使着任直後、最初に在留邦人の皆様を前に挨拶した際、ロシアによるウクライナ侵攻が開始以来3年間経ち、私自身の勤務地は代わったが、戦争終結への道筋が見えていないことについて触れました。2025年も、戦争終結に向けて様々なやり取りが行われましたが、残念ながら状況は大きく変わっていません。私が常駐代表を務めるOSCEにおいても、ここ何年もこの問題を巡り議論がなされています。
日本の立場を申し上げれば、日本は終始一貫して、ウクライナに寄り添う立場を貫いています。具体的には、昨年10月に我が国はウクライナ地雷対策会議(UMAC)2025を主催するなど、日本の持つ官民のノウハウをウクライナの復興に役立てるべく様々な努力を重ねております。ウクライナに限らず、世界各地で不透明な情勢にある地域が数多くあります。2026年にそうした状況が少しでも好転することを願うとともに、我が国としてそれぞれの問題に対し、持てる力を傾注して参りたいと思います。
最後に在留邦人の皆様に一言申し上げます。2025年は幸い、当地において、日本人が巻き込まれる大規模な事件・事故、巻き込まれたかもしれないテロ事件などはございませんでしたが、いつ何時、不測の事態が生じるかは分かりません。大使館としては、当地日本人コミュニティと連携しつつ、当地で活動する日本人の方々の安心、安全に今年も注意を払って参りますが、邦人の皆様一人一人も、様々な安全に関する情報に留意して頂ければ幸いです。