国際機関との協力 — 欧州安全保障協力機構(OSCE)

OSCE (Organization for Security and Cooperation in Europe) は、安全保障問題について協力するための世界最大の地域的国際機関です。現在、EUをはじめとする欧州諸国、米国、カナダ、ロシア、中央アジア諸国など計57か国が加盟しています。事務局をウィーンに置き、毎週開催される大使級の会合等には当大使館から出席しています。

OSCEについて

OSCEの特徴は、経済、環境、人権、人道分野における問題が安全保障を脅かす要因となるとの考えから、安全保障を軍事的側面のみならずこれらの分野も含め包括的に取り扱っている点にあります。具体的な活動としては、紛争予防のためにOSCE域内に早期警戒、事実調査等を目的とするミッションを派遣したり、紛争解決のために和平プロセスの促進を支援したりしています。近年は選挙監視をはじめとする民主化支援や人権遵守のモニター等に活動の重点が置かれるようになっています。

OSCEはもともと1970年代にCSCE(欧州安全保障協力会議)という会議体として発足した組織でしたが、冷戦終焉後に始まった地域紛争への対応の中で徐々に組織が整備され、1995年1月にOSCEとして常駐機構化しました。

OSCEの運営上中心的役割を果たすのが議長国です。議長国の外相がOSCE議長 (Chairman-in-Office) を務め、議長国のウィーン駐在大使が意思決定機関である常設理事会の議長を務めます。議長国の任期は1年間です。どの国が議長国を務めるかは、OSCE参加国 (participating States) のコンセンサスによって決定されます。議長国に加え、前年の議長国及び次期議長国がOSCEトロイカを形成します。OSCEトロイカは、議長国を中心にOSCEにおける意思決定(コンセンサス方式)を主導しています。

OSCE事務総長はOSCE事務局を管理・統括し、OSCE議長を補佐します。ウィーンにあるOSCE事務局(本部)及びメディアの自由代表 (Representative on Freedom of Media) のほか、ワルシャワに民主制度・人権事務所 (ODIHR: Office for Democratic Institutions and Human Rights)、ハーグに少数民族問題高等弁務官 (High Commissioner on National Minorities) が置かれています。さらに、OSCE域内の南・東欧、中央アジアを中心に15のミッション等が設置され、民主化・人権保護等のOSCEコミットメントを履行するための支援をそれぞれ行っています。

日本とOSCE

日本は、1992年7月のヘルシンキ首脳会議に議長国のゲストとして参加して以来、CSCEに参画してきました。日本は、OSCEの加盟国ではありませんが、「協力のためのパートナー」(Partner for Cooperation) として、OSCEの活動に積極的に参加しています。例えば首脳会議、外相理事会のほか、ウィーンで毎週開催されている常設理事会 (Permanent Council:PC) や、安全保障協力フォーラム (Forum for Security and Cooperation:FSC) 等に出席し、意見交換を行うとともに、日本の取組についても紹介しています。

(注) 現在、アジア・パートナー国(日本、韓国、タイ、アフガニスタン、オーストラリア)、地中海パートナー国(アルジェリア、エジプト、イスラエル、ヨルダン、モロッコ、チュニジア)の11か国がパートナー国になっています。

日本は、OSCEとの間で民主主義、基本的人権、法の支配等の基本的価値を共有し、OSCEとの協力を強化する観点から、選挙監視団への監視要員の派遣、OSCE地域に展開するミッションへの邦人職員の派遣、各種ワークショップへの専門家の派遣を行うとともに、OSCEのプロジェクトへの資金協力を行っています。

  • 薗浦健太郎外務大臣政務官がウィーンを訪問し、OSCEの議長国を務めるスイスのグレミンガー ( Mr. Thomas Christoph GREMINGER) 常駐代表との間で、日本とOSCEとの関係やウクライナ情勢について意見交換しました。薗浦政務官からは、ウクライナ危機について、日本は「法の支配」と「領土一体性」の原則の尊重や、安全保障面においてアジアにも影響するとの観点から、この問題を重視しており、OSCEとも協力して対処していきたいと伝えました。 (2014年11月5日)
    薗浦外務大臣政務官のオーストリア訪問(結果) (外務省ウェブサイト)
  • 「タジキスタン税関能力強化支援」プロジェクト
    日本も拠出したアフガニスタン国境管理プロジェクトの一つが完了しました (2013年10月17日OSCEのプレスリリース)
  • 小野寺五典防衛大臣がウィーンのOSCE事務局を訪問しました (2013年7月30日OSCEのプレスリリース)

日本の最近の取組

ウクライナにおける民主化支援

アジア・パートナー国として、ウクライナ情勢を巡るOSCEの努力に積極的に協力しています。

  • ウクライナ最高会議選挙への選挙監視要員の派遣 (2014年10月10日外務省報道発表)
  • OSCEのウクライナへの特別監視団派遣に対する緊急無償資金協力 (2014年4月25日外務省報道発表)
  • OSCEの「政治対話促進及び少数民族監視ミッション派遣」に対する拠出 (2014年3月7日外務省報道発表)

アジア・コンタクト・グループへの参加

アジア・パートナー国とOSCE加盟国が一堂に会するアジア・コンタクト・グループ会合が年間5回程度開催されており、日本は日本を取り巻く東アジアの安全保障環境や安全保障政策についても説明し、各国の理解を促しています。

OSCE・アジアパートナー国共催会議

japan-osce conference

例年、OSCEとアジアパートナー国の共催会議がいずれか一つのパートナー国で開催されています。2014年は6月16-17日に東京で開催されました。

OSCEと協調した中央アジア等支援

日本の「草の根・人間の安全保障無償資金協力」などのODAスキームを用いたOSCEとの協調プロジェクトを中央アジアを中心に推進しています。これまでの拠出金に限定されない新たなOSCEへの貢献策として注目を集めています。当大使館は、現地でのOSCEミッションと日本国大使館等の関係者による協力が円滑に進むよう補完的な役割を果たしています。

  • キルギス: 2012年度草の根・人間の安全保障無償資金協力「生態系保護のための環境評価能力向上計画」
    日本が機材の整備を支援、OSCEと連携して生態系保護の啓発活動も支援。 (OSCEのプレスリリース)
  • キルギス:2011年度草の根文化無償資金協力「民族和解のためのオシュ市ウズベク公民館整備計画」、「民族和解のためのオシュ市キルギス公民館整備計画」
    日本が音響機材の整備を支援、OSCEが公民館における民族和解・平和構築のための演劇公演に協力 (OSCEのプレスリリース)
  • キルギス: 2011年度草の根・人間の安全保障無償資金協力「水質検査能力向上計画」
    日本が機材の整備を支援、OSCEが水質安全教育に関するトレーニング等を実施 (OSCEのプレスリリース)