大使 - スピーチ・寄稿

新年のご挨拶

新年明けましておめでとうございます。

皆様におかれてはそれぞれよい年を迎えられたことと思います。昨年は世界的に激動の年で、アメリカではトランプ大統領の就任、その後世界の政治、安全保障、経済情勢は大きく揺れ動きました。ほとんど毎日のようにトランプ大統領の言動がメディアで大きく取り上げられ、特に北朝鮮のミサイル・核実験問題ではアメリカの軍事行動も懸念されるなど緊張の続く毎日でした。ヨーロッパでもオランダ、フランス、ドイツ、そしてオーストリアでも重要な選挙が行われ、ヨーロッパへの難民、移民の流入が大きな争点となりました。またイスラム過激派によるテロはヨーロッパでも多発し、セキュリティ強化はどこの国でも見られるようになりました。

このような激動する世界情勢の中で日本外交も新たなチャレンジに直面しました。北朝鮮、中国、ロシアとの関係は引き続き緊張感をはらんだものとなり、同盟国であるアメリカとの緊密な協力関係は安倍総理の強いリーダーシップにより一段と強化されました。また、ヨーロッパとの関係においても長年の懸案であった日EU経済連携協定が大筋で合意されたことはよいニュースでした。世界的に勢いを増す保護主義に対抗するためにも日本とヨーロッパの経済関係の強化は重要な意味を持ちます。日本とヨーロッパは自由、民主主義、市場経済、人権の尊重など普遍的価値観を共有する仲間であり、今後ますます日本とヨーロッパの関係強化は日本の国益にも直結します。

本年2018年も引き続き世界のリーダーたちはこれらの問題の解決に向けて努力していかねばなりません。複雑に絡み合う利害対立を決定的な破局に至らせないように、地道な外交努力が求められます。ヨーロッパの国々は歴史的に長い間、巧みな外交を積み重ね、粘り強く交渉し、現在を形作ってきました。確かに人類史上最悪の戦争を2度も引き起こしたのもヨーロッパでしたが、戦後平和で繁栄したヨーロッパを作ってきたのもしたたかなヨーロッパ人たちです。日本はもっとヨーロッパとの関係を強化していくべきであり、我々の生活するオーストリアも重要なパートナーです。弱肉強食の近代ヨーロッパで一大帝国を築きあげたハプスブルク、わずか100年前までヨーロッパの強国であったオーストリア・ハンガリー帝国、我々は今もう一度オーストリアという国を見つめ直すべきではないでしょうか。そんなようなことを考えながら今年という厳しい年を過ごしていこうかと思います。

 皆様にとり、本年がよい年となるよう心から祈念いたします。

2018年1月12日
駐オーストリア特命全権大使
小井沼     紀芳