大使 - スピーチ・寄稿

2014年新年のごあいさつ

明けましておめでとうございます。皆様におかれましては、お健やかに新年を迎えられたことと心からお慶び申し上げます。

昨年9月に着任して5か月、慌ただしい日々を過ごして参りましたが、オーストリア、コソボ、マケドニアにおける信任状奉呈もつつがなく済ませ、また天皇陛下の80歳を祝賀する誕生日レセプションも450人近いお客様にお越し頂く大盛会のうちに終えることができました。ここウィーンで皆様とともに初めてのお正月を祝うことができることを喜ぶとともに、いよいよ大使として本格的に活動を開始するに当たり、皆様のご理解、ご協力を心からお願い申し上げます。

ウィーンに住んでみて、改めてその住みやすさというものを実感しています。特に、公共交通機関が大変便利で、路面電車、地下鉄、バスを自由に乗り継げるというのが何よりも気に入っています。乗っている途中にちょっと用事を思い出しても、あるいは急に歩きたくなったとしても躊躇なく乗り降りができます。大使館近くのショッテントアの乗り継ぎも使いやすくいつも感心しています。ちょっとした「仕掛け」で移動の快適さがここまで高まるとは思ってもみませんでした。また、一周5キロのリング道路とその周辺に立ち並ぶ歴史的、伝統的建築物の見事さは、世界中の都市が逆立ちをしても真似ができない素晴らしさです。ライトアップされた夜景の美しさ、クリスマス前後の華やかな雰囲気、賑わいはおとぎの国のようで格別でした。

都市というものは器だけではなく、そこに何が盛り込まれているかが大事です。外交、安全保障という仕事をする上で、ウィーンは昔から情報、交通の要路であっただけに今でも目に見えない層の厚さを感じます。そして何と言っても「音楽の都」です。ウィーンフィルのあの音の輝き、柔らかさはどこから生まれてくるのでしょうか。国立歌劇場の一分の隙も見せない舞台はどのようにして作られているのでしょか。最高水準の演奏家、観客、ホール、劇場、環境が一体となって生み出す至福の時。子供の頃から生活の隅々にまで音楽が行き渡っている、そんな本場だけが持つ「凄み」がこの街にはあります。日本も、自分にないものを補うだけではなく、日本の強みを伸ばす、日本に行かなければ味わえない本場の感動、本物の迫力を育てることが、国際的な戦略としてもっと強調されて良いかもしれません。

終わりに、本年が皆様にとりまして実り多き一年になること、あわせて皆様のご多幸、ご健勝を心からお祈りして、年頭の挨拶とさせていただきます。

2014年1月
特命全権大使
竹  歳     誠